心を強くしてくれる言葉を持っていますか?【スポーツメンタルコーチ】【鈴木颯人】

落ち込んだとき、心が弱っているとき、自分を励ましてくれる言葉、自分を前向きにさせてくれる言葉を持っていますか?

心が弱っているときには、自分を責めがちです。でも、自分を責めたところで、状況がよくなるわけでもないし、より気分は落ち込んでいきます。

そして、あまりに落ち込みすぎると、それを戻すのに大変な労力がかかってしまいます。少しでも早く、自分を落ち込んだ気持ちから救ってあげることが大切です。

そのような言葉を教えてくれた本が、「弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉-スポーツメンタルコーチが教える“逆境”の乗り越え方」です。

著者の鈴木颯人(すずきはやと)さんは、脳科学・心理学を用いて、競技・プロアマを問わず、アスリートをサポートされているスポーツメンタルコーチです。

おおまかな内容

著者は、「今にも心がくじけそうな人」に向けて、次の4つのチャプターを用意しています。

1.スタートの不安を励ます言葉
2.くじけそうな心に効く言葉
3.生まれ変わるための言葉
4.夢は続く、終わらない

著者は、
「ポジティブな言葉を聞くよりも、ネガティブな状態を抜け出す技術を学ぶほうが大事」
だと考えています。ポジティブだけでは、限界があるというのです。

そりゃ、いつもポジティブでいられれば、それに越したことはありません。でも、誰しも、落ち込むとき、心が弱るときが訪れます。

「弱気な自分、見たくない自分、嫌いな自分に向き合う」のはツライことです。でも、そんな自分を認め、向き合うことが、ポジティブになるよりも大切なことだと著者は主張しています。

勝ち負けがはっきり示されるスポーツの世界では、ダメな自分に対峙せざるを得ない場面がたくさんあるでしょう。

思ったような結果が出せなかったとき、練習ではできたことが本番でできなかったとき、トレーニングの必要を感じていたのにしなかったとき、相手が自分の実力を上回るのを目の当たりにしたとき、など。

そんなとき、ただポジティブでいることよりも、まず、弱い自分をいったん受け入れて、そしていい方向にもっていくことが大切だと、著者は述べています。

心に刺さったところ3つ

何のために競技をするのか?

完璧なんて言葉はないと思っています。失敗しては課題が見つかる。その課題に出合った時、よし、やってみるぞという楽しい気持ちになれます。(松井稼頭央)

一方、失敗することを嫌がる選手は、失敗しないために闇雲な努力をしがちです。
自分自身の能力を過信するから失敗が怖くなり、失敗を避けたいと思うから身の丈以上の努力をする……。しまいには「こんなに努力しているのにどうして結果が出ないのか」と悲観的になってしまいます。この状態も挫折の一種でしょう。

「松井選手」と「失敗することを嫌がる選手」では、「失敗」のとらえ方がまったく違いますね。

「失敗」は「しちゃいけないもの、避けるべきもの、ダメなもの」ととらえられることが多いと思います。

松井選手は、そうではなくて、「失敗」を「課題に出合えるもの」「やってみようと思える楽しい気持ちにさせてくれるもの」ととらえています。

この考え方の違いによって、努力のしどころが変わってきます。

失敗を嫌がる人
→失敗しないように、あらゆる場面で努力する

松井選手
→失敗したところを重点的に努力する

どちらが、その後伸びていくかは明らかですね…。「失敗することを嫌がる選手」は、失敗を避けるために、努力しなくていいところまで努力してしまっているんです。

松井選手のような考え方をすると、もはや「失敗」を歓迎する気持ちにもなれますね。

「失敗=してはいけないもの」という考え方は、おそらく子供のころからすりこまれてきたものでしょう。でも、ここは考え方を見直したほうが、自分の成長のためにも、精神衛生上もよさそうです。

「失敗=課題が見つかってラッキー」、これくらいシンプルにとらえなおせば、失敗はこわくありませんね。

「ピグマリオン効果」「ゴーレム効果」

よく批判に耳を傾けろなどと言いますが、批判の声を力に変えられる自信がある人だけがやればよいと思います。その自信がない人は無理に耳を傾けないでください。

というのは、次のような心の働きがあるからです。

「ピグマリオン効果」
→「人は他人から期待されていると感じるとその期待に応えようとし、自分の持っている能力が無意識に引き出され、結果すらもよくなる」

「ゴーレム効果」
→「人からまったく期待されていないと感じたとき、能力や意欲が落ち、結果がどんどん悪くなる」

ということは、「批判」を聞いて落ち込み、成果がでなくなるくらいなら、「批判」なんて受け入れなくていいということです。ほったらかしておけばいいんです。

また、「批判」は、「アドバイス」として、かたちを変えて現われるので、要注意です。

たとえば、「あなたのためを思って、あえて言うけど…」とか「言いたくないけど、言わせてもらえば…」とか。
そういうのも、適当に受け流して、ほったらかしておきましょう。

結果を出す以上に大切なこと

悩みを持つ人、結果を出したあとで苦しむ人が減らないのはなぜでしょうか?
私たちは、結果を出すこと以上に大切なことが何であるかを考えなければなりません。
それは成長の過程に注目することであり、他人の利益を考えることであり、競技そして人生そのものを楽しむことです。

たくさんのアスリートを見てきた著者が、いちばん伝えたいメッセージだと思います。

「幸せな人生にするためには、なににフォーカスするか」ということです。

結果にフォーカス
(勝ち負けだけにこだわる)
→勝っても、一瞬の幸せ。
 負けると、ダメだった部分に集中。
→ツライ

過程にフォーカス
→勝っても負けても、なにかしらの成長を感じる
(たとえば、挑戦してみた勇気、自分の弱点がわかったこと)
→楽しい

著者は、輝かしい栄光を勝ち得た選手の中には、その後うつ病になる人が多いと言います。結果ばかりにこだわりすぎたのかもしれません。

著者は、選手には競技をやめた後も、幸せな楽しい人生を送ってほしいと願っています。

選手が幸せな人生を送れるかどうかは、素晴らしい結果を残せたかどうかではありません。

成長過程に注目したか、周りの人々・環境に感謝したか、競技を楽しめたかどうかによると、著者は言っています。

もちろん、アスリートだけではなく、だれにも同じことがいえると思います。

もちろん結果を残すことも大事だけれど、「幸せに生きていけるか」という視点から見ると、「成長に目を向け、自分の環境に感謝し、なにごとも楽しむ」ことのほうが大切なのです。

【結論】メモしておきましょう

アスリートのメンタルコーチの本なので、スポーツ苦手で内向きなわたしにはちょっと重いかもしれないと思いながら、手に取りました。いやいや、そんなことはありません、繊細な分析で心に響きました。

覚えておきたいことは、落ち込んだときに、気持ちを元に戻すことが大切だということです。そのための言葉をいくつも受け取りました。落ち込んだときにそれを自力で思い出せそうにないので、メモしておくことにします。

弱った気持ちをフラットな状態に戻してくれる、そういう言葉をいくつも持っておくこと、そして、その言葉を早く呼び出せるようにしておくことが、自分を強くしてくれるのですね。